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一般社団法人日本Cell Death学会 理事長挨拶

 太田先生、三浦先生と偉大な先生方が理事長をされた後で、はなはだ実力不足ですが、この7月から理事長を務めさせていただくことになりました東邦大学医学部生化学講座の中野でございます。
 
 ご存知のように日本の研究環境は年々悪化しており、これに相関するように先日参加した米国のアシロマであった国際TNF会議には日本のアカデミアからの研究者の参加者は4名のみで、企業からの参加者はゼロという状況でした。独法化された国立大学への運営交付金が毎年減額され、多くの地方大学では存続をはかるために教員が辞めてもそれを補充できないという状況が生じており、かつ任期制の教員が増えています。このような状況が今後も継続すると考えられ、若手研究者がアカデミアに身を置くということは、将来的に不安定な生活を強いられ、裕福な生活を望めないというようなレベルではなく、安定した職にすら就くことができないという状況になっていると思われます。確かに以前の大学では、全く仕事のできない研究者が、定年までい続けられるという状況が生じていたのも事実だったと思います。しかし現在の5年などの任期制の導入は、落ち着いて研究をすることができない状況に助教や博士研究員を追い詰めているのではないでしょうか?米国のように社会全体の流動性が非常に高く、かつ一流の大学や研究機関からドロップアウトした研究者へのback upシステムがしっかりしている社会を参考にして、それらのシステムが機能していない日本に米国と同じような任期制を導入することで様々な弊害が生じていると思われます。つまり現在の日本の研究システムでは、若手研究者に明るい未来を提示することができないような社会になっています。これについては以前に生化学会に寄稿した私の「研究者になる魅力をいかに伝えるか」という文章も参考にしていただけると幸いです。
http://tohobiochemi.jp/essay/index.html
 
 このような日本の研究環境が次第に劣悪になっていく中で、日本Cell Death学会の会員や学会への参加者をいかに増やすかということが私に与えられた大きな課題だと思っております。それについていくつかの案を考えております。まず1) 今後の学会長(2020年度 順天堂大学教授 服部信孝先生、2021年度 東京医科歯科大学教授 鍔田武志先生)の先生方にお願いして魅力的なシンポジウムを開催してもらうこと、2) 若手で研究業績の優れた人たちを積極的に日本Cell Death学会の評議員になっていただくこと、3) ホームページ上で学会員に有益な新しい企画を行うことなどを考えております。3)については、まず最初に日本人の細胞死研究者がこれまでに発表してきた歴史的な発見や研究についてのエピソードを自由形式で記載していただき、それをホームページ上で随時アップしていきたいと考えております。このような取り組みを通して、今後はこの学会をさらに発展させ、若手の細胞死研究者の育成や、広く研究者の人脈を広げる場としても盛り上げていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

令和元年8月7日

中野 裕康


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