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一般社団法人日本Cell Death学会 理事長挨拶

 私が大学の講義でプログラム細胞死を知ったのが34年前。そして実際に細胞死研究をするようになったのが23年前。今年の日本Cell Death学会学術集会が1992 年発足のアポトーシス研究会から通算で24回目、まさに私が細胞死研究を行ってきた年数と重なります。疾患において細胞死がその病態に深く関わることは認識されていましたが、体を創って行く発生プログラムのなかに細胞死が含まれることが私には大きな驚きであり、魅力ある現象でした。

 しかしながら、生体で細胞死は見つけること自体が難しい現象です。細胞の変化が増殖に向かうがんや、刺激に応じて活性化される幹細胞とは正反対の性質をもつのが死にいく細胞ですから、その研究には独自の方法論が必要とされ、それ故に細胞死研究には難しさと面白さが共存します。細胞死の一形態であるアポトーシス機構の解明によって、発生や様々な病態での細胞死に共通した分子機構が知られるようになってきました。その一方で、アポトーシスの操作で判ってきたアポトーシスではない“制御された細胞死”がその分子実態を見せ始めてきました。発生や病態のみならず、体の恒常性維持や老化でも、細胞死が多様な仕組みで実行されています。これまでは不要な細胞を除去する仕組みと考えられてきた細胞死ですが、この細胞現象が細胞社会を創っていくこと、維持していくことに積極的な形で関わっていることが次々に報告され注目をあびています。細胞死は生命の仕組みを紐解く重要な現象であり、疾患の理解に欠かせない研究分野として飛躍する時期にきたといえるでしょう。

 日本Cell Death学会では細胞死の理解を進めることによって、生命現象を深く探索する研究と、新たな視点から疾患の解明と治療とを促進する研究の交流を盛んにする場として機能することを目指しております。日本Cell Death学会は前理事長の太田成男先生を初めとする設立準備に関わった先生方により2009年に発足いたしました。このたび、理事会において理事長の指名をいただき、非力ではありますがお受けすることにいたしました。“細胞死”という魅力的な生命現象を扱う学会の進展に微力ながら全力を尽くす所存でおります。どうか皆様のご支援とご協力を宜しくお願い申し上げます。

平成27年7月

三浦正幸
東京大学大学院薬学系研究科教授


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